過去のサテラビューの動画に対する今の人のコメントなどを見ると,面白そうと言う意見が意外に多いことが分かります。
当時ネットワークなども普及していなかった状態で「通信」ではなく「放送」という形態を通じてゲームを配信した試みはなかなかユニークな発想だったと思います。
今,改めて,サテラビューの何が面白かったのかと考えた時に,音声連動でゲームがプレイできるというのももちろんそうですが,一番大きかったのは,実は全国のプレイヤーとの連動感だったのではないかと感じています。
現在,どうぶつの森とかリトルビッグプラネットとか,ネットワークを通じてコミュニケーションをとることを売りにしたゲームが一種のブームになっていますが,今の時代ライフスタイルも多種多様になり,なかなか誰かと一緒に遊ぶということがない中で,誰かと少しでも繋がっているという感覚はかけがえのないものなのではないかと感じています。
そんな中,サテラビューの音声連動ゲームは,物理的にこそ繋がっていないものの,同時刻に同じ放送を聞きながら同じゲームを1時間プレイして同じようにスコアを投稿し,掲示板で事後の談笑に浸る,というコミュニティのようなものがある意味成立しており,その精神的に繋がっている人数といえば,今のインターネットを利用したネットワークゲームでもあり得ないほどの人数のような気がいます。
もちろん完全管理された中央集権型のネットワークゲームというのは,持続して行く上で費用など多くの問題を孕んでいるのは事実ですが,サテラビューのユーザーというある種限られた,しかし多人数で構成されたコミュニティの中でだからこそ実現できた,今考えれば夢のような企画だったんではないかな,と思えます。
クリスマス,といえばみんながクリスマスというお祭りを共感する,お正月,といえばみんながお祭りを共感する。そんなお祭りを毎日のようにサテラビューで体験していた我々は幸せだったように思います。特にあの頃はゲーム業界も最盛期で,全体的にゲームを楽しむことが当たり前のようだった時代のようにも思えますし,一種のバブルだったのかもしれません。
今後,ネットワークというのはますますゲームにおいて鍵になってこようかと思います。ネットワークというのが物理的なつながりであれど,精神的なつながりにならないと結局は,意味がない,と私は思います。そこはハードではなく,ソフトの問題になってくるのでしょうが,全国のプレイヤーが繋がっている,そんなゲームがまた出てきたらいいのに,と思います。
サテラビューの良さを後世に伝えることは,インターネットが普及して,ゲームが当たり前のように通信できるようになった今の時代においても,意味のあることだと改めて実感しています。更新していない自分が言うのもなんですが。
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